1日目、新嵐山荘駐車場で2時間ほど待機していると、小雨が止み外は明るくなってきた。まだ山並みは見えないが晴れることを期待してトッタベツ林道に向かって出発する。
トッタベツ川とエサオマントッタベツ川の出合いにある登山ボックスのノートに記帳し、左側の林道をさらに少し奥に進むとやや広めのスペースがあり5台ほど駐車されていた。
着替えて渓流靴を履き9時10分出発する。今日も早朝から暑く、さらに気温の上昇が予想される。2箇所の崖崩れ地点を横切り、荒れた林道を背丈もあるフキなどをかき分けて進むとやがて入渓地点に到着する。明るい沢中からは札内岳の頂上部がはっきりと望まれる。
特に難しい箇所はなく、ほぼ1時間毎に休憩をとりながら淡々と遡行する。水は透き通り、時々岩魚が走る。Co997mの上二股で休憩中の1人の男性に話しかけると山スキーの沢を利用した札内岳ピストンだと言う。
北東カール1-1
さらに下山途中の3パーテ5人とすれ違ったが、そのうちの2人は5時に登山口を出発して日帰りだという。世の中には驚くほどの健脚者がいるものだ。この辺りからゴーロ帯になり傾斜も増してきて歩き辛くなるが辛抱のしどころだ。
やがて滝が現れ、その上部の滑滝への期待が膨らむ。滝の下で一息入れた後、左岸の滑りやすい土壁に取り付く。慎重に登り続けると、やがて長さ300mの滑滝が20度ほどの急傾斜で現れた。
左岸端をへつり気味に慎重に進んだり、時には大胆に中央部の乾いた岩の上を3点確保で登る。沢はどんどん狭くなって水流も少なくなり、16時40分ついに北東カールへ躍り出た。
垂直に天を突くカール壁に囲まれた緑の原、小さな雪渓から流れる小川のせせらぎ、風の音、まさに天上の楽園である。でもここは熊の楽園でもある。1張りのテントがあり、外では一組の男女が夕食中であった。挨拶を交わし、我々も少し離れたガレ場にテントを張り、お湯を沸かして食事を済ませる。凍らしてきたビールは解けておらず今夜は飲むことができない。
泡盛少々を飲んですぐ寝袋に入る。昨夜は3時間ほどの睡眠しか取れていなかったので、たちまち眠りに落ちた。22時に眼が覚めたがその後は寒くて寒くてなかなか眠れず、結局、毛糸の靴下、レインコート上下を身に着けて、やっと2時間ほど眠れた。
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