「とくしゅんべつやま 徳舜瞥山のいただき頂に至る道のり」
登山靴に履き替えている際に、ふと正面を見上げると徳舜瞥山の鋭角の頂が遙か彼方に、少しかすんで見えました。
標高は1,309mあるそうです。紅葉で黄色や茶色、くすんだ緑がまじった山はすそ野が広く、本当にあの頂までたどり着けるのだろうかと、怖じ気づき、靴ひもを縛る手に力がうまく入りませんでした。
10月6日に行われたこの山行のメンバーは23名。早朝にバスで札幌を出発し、徳舜瞥山のある大滝村へと向かいました。
早起きでしたので、車内で居眠りでもしようと思っていたのですが、緊張して寝付けません。札幌から離れるごとに樹木が増え、大自然の中を縫うようにして、私たちを乗せたバスは走っていきます。
道中、メンバーの自己紹介があり、それぞれに山の経験などをお話しされていました。中には70歳の方もいらっしゃり、とてもそのような年齢には見えないしっかりした体つきでかくしゃくとされていました。
時折、雨が降りましたが現地に到着すると雨は降っておらず、薄い灰色がかった曇り空でした。晴天ならば同じように心も晴れるかも知れませんが、曇天は気持ちを不安にさせました。
私は全くの登山初心者。一人きりならばためらい、引き返すこともできますが、団体行動ですので黙々とリーダーの指示に従い、気が重いまま登山口へ向かって出発しました。
私はいわゆる運動神経が全くない人間です。小学生の頃から体育の授業の徒競走では、どんなに一生懸命走ってもクラスで一番か二番目に遅く、マラソンも同様。リレーや球技のチーム分けで、私が入ったチームのメンバーは決まって嫌な顔をするのでした。
当然のことながら運動をすることは私にとって大きなコンプレックスです。ですから、登山などもってのほかなのです。
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