このころ皆は、今にもこのまま北鎮岳を往復しそうなほど絶好調で、気力体力に溢れていた。それにしても平田さんには感服する。私より10歳上なのに私より10歳若い動きだ。その日のうちにもう一度同じコースをおさらいできそうに見えるほど健脚である。旭岳から3時間、中岳温泉に到着した。
先着の人たちがそれぞれに昼食をひろげていた。その真中の深さ30cmほどの手作り温泉に肉付きの良い4人の男達が寝そべっていた。空は青空、沢山光を集めてとても健康的な眺めに見えたので、次は我々の番かなと思っていた。でも、どこからも誘いがなく裸になるチャンスを逸してしまった。昼食の後、足だけ巻くって入った。
湯加減は上々で、混浴でした。土田リーダーが丹精こめて煮出した熱いコーヒーが強い日差しの中、風呂上りの喉にとても染みました。
途中2、3度沢を渡った。雪渓から落ちてきた水流が一帯の草花を育み、そして我々にも元気をくれた。裾合い平で左折の後、間もなく、突然向こうにロープウエーの駅が見えた。
しかし私の身体はもう歩きたがっていない。段差の高い登りでは、足を上げては見たものの身体が上がってこない。家内の後に距離を作らないようにと頑張って、やっと姿見の池に戻ってきたとき丁度残る力を使い果たした気がした。私がペースメーカーの折登です。
春香山で平田さんと足を鍛えていると聴く小林さん高橋さんのお二人はさすがに最後までしっかりとした足取りで感心した。
姿見の池を上がると、まるで計ったようにAコースの一行に出会い合流した。Cコースはすでに到着して待っていた。全員で山をバックに写真を取ることになり、並び始めた。
なんと言うことだ。それまでずっと日本晴れだったのに、14時15分急に山に霧が走り、あっという間に山は消えた。だからそのときの記念写真には霧は見えるが、旭岳の姿はない。
15分後ロープウエーで下山し、再度グランドホテル大雪で温泉に浸かった。交渉上手な多田さんが、秀岳会ご一行様の入浴料金を"ただ"にした。私は今日も烏の行水だが、リーダーはなかなか出てこない。湯加減も良かった。ビールが美味かった。
いい山行だった。皆さんありがとう。
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