登山口からいよいよ登り始めると、しばらくして巨大な岩がごろごろとある場所に出ました。このたくさんの岩を、時には這いつくばるようにして登り、一休み。トップを歩いていたのは、なんとあの70歳の方でした。全く息を上げずに、何事もなかったような顔をされています。感心せずにはいられませんでした。
途中、ぬかるみがあったり階段状のきつい登りがあって、なかなか足が上がりません。歩いても歩いてもずっと登り道は続きます。
8合か9合目あたりでしょうか、ようやく三角の頂を見ることができました。まだまだ遠いのです。うんざりした気持ちになりましたが、その一方「ああ!この山も美しい」と胸が高鳴りました。私たちは頂上を極めるためにここまでやってきたのです。もう一踏ん張り。
運動不足のせいで膝がガクガクしておぼつかないのですが、新しく買った登山靴は私を支え、滑りやすい道もなんとか歩ませてくれます。よし、行こうと気持ちを引き締め、登り続けるとだんだんと寒くなり、植物の葉も少なくなってきました。もう、ひたすら歩き、登ることしか考えられません。いえ、思考は止まってしまって、もう登るだけの人なのです。
そして目の前の視界が広がり、ついに迎えた頂上。思わず「バンザーイ!」と体中で叫びました。360度の視界には支笏湖や太平洋も目に入ります。他の山々も紅葉で美しい模様のじゅうたんをかぶっているようでした。私たち以外の登山者も満足した笑みを浮かべています。
持ってきたおにぎりは、寒さですっかり冷えきっていました。隣では家族の登山者がコンロを囲み、熱々のラーメンを湯気を立てながら食べています。うらやましくてたまりませんでした。
今度山に登る時は、頂上に着いたら必ず何か暖かいものを食べよう。くたくたに疲れているのに、もう次回のことを考えていました。
今回の山行では怪我や事故もなく、無事終えることができ、一緒に参加したメンバーに励まされ心から感謝しています。
特にリーダーは、準備段階から奔走され、当日も細やかな点までお気遣いしてくださいました。そのなごやかなお人柄のお陰でリラックスでき、頂上までたどり着くことができました。どうもありがとうございます。
徳舜瞥山よ、美しい姿を見せてくれて、さらに頂まで導いてくれてありがとう。
おわり
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