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609mポコへ続く尾根からの群別岳南峰(稜)、
鋭い岩峰が容易に人を寄せ付けないようだ
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昨年5月、群別岳に初登頂した。往復中、熊にも人にも会わず一人静かに感激をかみしめた山行だった。
20数年前の話になるが、ゴールデンウイークを利用して、雄冬岳→浜益岳→群別岳→尾白利加岳(現在は奥徳富岳)→暑寒別岳縦走を秀岳会で計画したので参加した。
雄冬岳を越えて浜益岳へ向かう途中でテント泊したが、夜半から天候が急変して暴風雨警報がでたため、山行を中止し、急いで車に戻ると雨が強く降り始めた。そんな訳で、暑寒連峰には大いに未練が残っていた。
最近また山歩きをポツポツと始め、奥さんと楽しむことが多くなってきた。一昨年春、単独で浜益御殿と浜益岳を、続いて、奥さんと暑寒別岳の春スキーを楽しんだ。
暑寒別岳から眺めた群別岳と奥徳富岳の鋭い岩峰は実に見事で、登頂意欲をかきたてるのに充分であった。暑寒別岳下山後、幌天狗岳経由で群別岳をめざしたが、1時間半ほど林道を歩いても雪が現れず、スキーの重さで疲れ果てて止めてしまった。
そして、昨年、今度は群別川から増田の沢を詰めて群別岳につぼ足で登ることができた。群別岳に登ること自体ハードなことなのに、懲りずに群別岳→奥徳富岳縦走をまた計画するなんて、やっぱり気違いの部類に入るのだろうか。これで暑寒連峰の縦走ではないが、すべてのピークに登ることになる。
快晴が予想された5月4日、昨年と同じコースで群別岳を目指した。林道終点までが長く、単調で帰りのことを考えるとスキーを使う気になれない。林道終点からまだ完全に開けていない沢を渡り尾根に取り付く。すぐに群別岳の鋭い南峰(稜)が視界に飛び込んでくる。
大好きなビューポイントだ。初めて見た時には、とても手に負える山ではないと尻込みした。やがて、609mのポコ、熊ノ平、増田の沢の大滝と見慣れた景色が次々に現れ、自然と足が速くなる。
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奥徳富岳とのコル付近から群別岳を振り返る
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安全のためにアイゼンを着けて南峰目指して急斜面を登っていく。尾根に出ると、風が予想以上に強く撤退することも思案した。南峰の東側急斜面をトラバースして本峰の下に出て、後はハイ松に足をとられ、腐れ雪に腰まで埋まりながらやっと頂上に立てた。
頂上からの展望は昨年同様素晴らしく、暑寒連峰の全貌が楽しめた。奇怪な形の黄金山もはるか下である。
山頂では数日前から入山し、今朝、知来岳へ登ってきたと言う単独行の若い男性としばし言葉を交わす。親子熊が頻繁に歩き回っているらしい。
20分ほど休憩後、今日の目標である奥徳富岳を目指す。左側は雪屁の張り出した絶壁で、右側は群別川へ落ち込む急斜面である。どちらに落ちても助からないようなナイフリッジの難コースで奥徳富岳山頂まで気が抜けない。
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コル付近から奥徳富岳をめざす
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途中で、北大ワンゲル部のパーテイ数人に追いつき、挨拶を交わした後は一人旅になる。奥徳富岳山頂では、また違った角度からの群別岳を眺めながら、無事登頂できた喜びをかみしめた。
アイゼンからカンジキに変えて、1214mから1069mピークを目指して飛ぶように下山した。1069mから張り出す西尾根は群別川に下る最後の急斜面が危険だと判断し、759mの小ピークを南側から巻いて、609mのポコにでた。
ここで、大休止して群別岳から奥徳富岳へつながる稜線を何度も眺めては、達成感に自然と笑みがこぼれた。後は単調な林道歩きであるが、さすがに疲労感はピークに達し、痛めている左足首は悲鳴を上げていた。浜益温泉に浸かりながら、今日一日の厳しかった山行を何度も反芻した。
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群別岳山頂からの暑寒別岳
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≪タイム≫ 2006.5.4(木)6:30 登山口発、 9:30-40 増田の沢、大滝、11:20-40 群別岳、12:50-13:05 奥徳富岳、 16:00
登山口着 |
2006.5.4(木) 土田 猛
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